【STEAM教育】すぐ諦めてしまう子に。「ネジおもちゃ」で試行錯誤を楽しむ力を育てる

STEAM教育
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バトニカエンジニア

子育て中の理系パパ。機械工学、半導体が専門。

AI時代を生き抜く思考、社会人基礎力、STEAM教育など、これからの時代に必要とされる力を子どもへ伝承すべく、知育玩具開発、販売など活動中。我が子で実践しながら思考錯誤の日々。

「子どもに幸福な未来をつなぐ」Batonicaを立ち上げ、事業を運営。

このブログでは「子どもの幸福な未来」のために親としてできる教育に関する情報を中心に発信しています。

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「少し思い通りに行かないと、すぐに『もうやらない!』と投げ出してしまう」

「手先を使う課題や難しいパズルにあたると、自分から挑戦しようとしない」

理系パパ
理系パパ

子どもがすぐに諦めてしまうように見える背景には、性格だけでなく、「自分の手で原因を探り、調整して解決する」という試行錯誤の経験の少なさが関係している可能性もあります。

現代の子どもたちにとって、身近な道具や素材を実際に手で動かし、「なぜこうなるのだろう?」と考える体験は、家庭や遊びの中でも大切な学びの機会になります。

本記事では、「組み立てては外す」というネジ留め(ねじブロック)を使った構築遊びが、なぜ小学生の「エンジニア的な試行錯誤(観察→原因特定→分解・調整→再テスト)」を引き出しやすいのか、教育研究や発達心理学の視点から解説します。

「うちの子、すぐ諦める…」小学生の保護者が抱える共通の悩み

「うまくできないとすぐ泣く・投げる」背景にあるものは?

完成されたおもちゃや直感的な操作で動くデジタル機器に囲まれて過ごす中では、自分の手を使って「なぜか上手くいかない」「何が原因だろう?」と物理的な構造や仕組みを、自分の手で確かめながら試行錯誤する機会は、意識しなければ作りにくいことがあります。

問題にぶつかった経験が少ないと、少しの思い通りいかない変化を「決定的な失敗」だと捉えてしまい、どう対処してよいか分からず諦めてしまいやすくなります。

「一発で成功する遊び」と「調整が必要な遊び」の違い

文部科学省の小学校理科の学習指導要領でも、観察や実験を通して予想や仮説を立て、結果を整理・考察するなど、問題解決の過程が重視されています[1]。

また図画工作においても、材料を基に発想し、手や体を働かせて工夫する活動が位置づけられています。

画面上のデジタルゲームや一発で決まる簡易なおもちゃは直感的で手軽に楽しめますが、現実世界のモノづくりや実験のように「自分で観察し、仮説を立て、調整を繰り返す」というプロセスは体験しにくい面があります。

理系パパ
理系パパ

子どもに必要なのは、失敗を回避することではなく、「どう調整すれば上手くいくか」を自分の頭と手を動かして探る実体験です。

なぜ「ネジ留め」は構造的な試行錯誤を引き出しやすいのか?

プラメカ・スタートBOX。STEAM教育知育玩具。

「失敗と向き合うアプローチ」において、パチッとはめるブロックと、工具を使って回し入れるネジ留めブロックには、それぞれ異なる特徴があります。

比較項目はめ込み式ブロック(レゴ等)ネジ留めブロック(ねじブロック)
基本操作パーツを押し込んで接続ネジ・ナット・工具で接続
分解パーツを引き抜いて外すネジを緩めて外す
調整パーツの組み合わせを変える締め付け具合や位置の調整ができる場合がある
特徴形を素早く直感的に組み立てやすい締結・分解・調整のプロセスを体験しやすい

「一からやり直し」ではなく「部分的な調整(分解と再組み立て)」という体験

今回のようなネジ留め式の構造では、接合部にアクセスしやすい設計であれば、特定の部分だけを分解して調整できます。

問題のあるパーツ周辺のネジを外して調整し、再度締め直す。この「全崩しではなく途中のチューニング(調整)」というプロセスを通じることで、子どもは「失敗=ゼロに戻る」のではなく「失敗=改善の途中段階」として認識しやすくなります。

工具を使い、自分の手で仕組みを制御する実感(自己効力感)

ネジ留めは、「パーツを合わせ、ボルトを通し、裏からナットを押さえ、工具で回す」という両手を使った能動的な操作が必要です。

心理学者アルバート・バンデューラ(Albert Bandura)の「自己効力感(Self-Efficacy)理論」によれば、自らの働きかけによって直接的に状況をコントロールできた成功体験(遂行行動の達成)が、自己効力感を育む上で大きな役割を果たすとされています[2]。

自分の手でガチッと固定し、思った通りにパーツが連結できた体験は、この理論と整合します。

【STEAM教育】ネジ留めの「分解・調整」が促す3つの教育的価値

工学(エンジニアリング)教育に関する米国科学・工学・医学アカデミー(National Academies)の資料では、問題に対して解決策を考え、実際に作り、試し、結果をもとに改良する「反復的な設計プロセス(engineering design process)」の重要性が示されています[3]。

【エンジニアリング的試行錯誤】「なぜ動かない?」原因を観察する問題解決力

「ネジが奥まで届かない(=パーツの厚みに対してネジが短すぎる)」

「工具が壁に当たって回せない(=組み立てる手順の検討不足)」

ネジ留め遊びでは、具体的な物理的課題が目の前に現れます。「どこに原因があるのか?」を観察し、ネジを外して順番を組み替えるアプローチは、工学的な問題解決(試行錯誤)の基礎的なトレーニングにつながります。

【自己効力感の醸成】「調整したら動いた!」という手応え

最初はグラグラしていた車輪やアームが、自分でネジを締め直すことでビシッと固定され、思った通りに動く。

この「自分の調整によって物事が意図通りに変化した」という成功体験の蓄積が、「次も試してみよう」という主体的姿勢を支える一助となります。

【メタ認知的な活動】「どう進める?」を考える計画・振り返り

「どの順番でネジを締めれば、全体の位置がズレずに固定できるか?」

「どこから解体すれば形を維持したまま内部を調整できるか?」

作業全体を見渡し、「どう進めるか」「うまくいっているか」「次に何を変えるか」を考える活動には、自身の思考や手順を客観視するメタ認知的な要素が含まれています[4]。

試行錯誤を楽しむ子になる「ネジおもちゃ遊び」3つのアプローチ

無理に複雑なものを作らせず、自然に「分解・調整」の面白さに触れられる段階的アプローチをご紹介します。

STEP 1: たった2個のパーツを締め・外す「操作体験」

最初は作品を作るのではなく、「プレート2枚をネジとナットで留める」「締めたネジを工具で外してみる」という基本操作からスタートします。

自分の手で固定と解放ができるという感覚を掴みます。

STEP 2: 「あえて逆に組んだパーツ」を直す宝探しゲーム

あえて1箇所だけネジの位置がズレている状態を保護者が用意し、「どこを外して締め直せばまっすぐになるかな?」と観察させます。

間違いを見つけて「分解して直す」こと自体を遊びにすることで、調整作業への抵抗感を減らします。

STEP 3: 締め具合で動きが変わる「可動ギミック」の実験

ネジの締め具合によって「ガチガチの固定」にも「滑らかな回転関節」にもなることを学びます。

「少し緩めるとアームが動く!」「締め直すと位置が止まる!」という物理的なチューニング(調整)の面白さを体感します。

【親の関わり方】挫折感を「次の調整」に変える声かけのヒント

子どもが作業で行き詰まった時、保護者のアプローチによって子どもの視点は「感情」から「観察」へと移りやすくなります。

× 思考を深めにくい声かけ 観察と調整を促す声かけ
「違うでしょ、このネジじゃないよ」とすぐ答えを言う「あれ?ネジが届かないね。パーツの厚みとネジの長さを比べてみようか」
「難しいから代わりにやってあげるね」と親が全て行う「裏のナットを指で押さえておくから、工具で回すのをやってみる?」
「上手に作れてえらいね!」と結果だけを褒める「何度もネジを外して位置を調整しながら作っていたね!」

結果だけでなく「何工夫したか」のプロセスに着目する

キャロル・ドゥエック(Carol Dweck)教授らのモチベーション研究(Mueller & Dweck, 1998)では、能力そのものよりも「どのように取り組んだか」というプロセスや具体的な工夫に着目したフィードバックが、困難な課題に対する粘り強い反応や成長可能性を重視する考え方(マインドセット)につながる可能性が示されています[5]。

「何度もネジを外して位置を調整しながら作っていたね」と、具体的な工夫のプロセスを言葉にしてあげることが大切です。

【Q&A】ネジおもちゃと試行錯誤に関するよくある質問

Q1. 手先が不器用ですぐにイライラしてしまう子でも楽しめますか?

A1. 六角レンチやスパナなどの工具を使うことで、指先だけでは扱いにくいネジを「道具を使って操作する」体験ができます。

自分の手だけでなく道具を使ってものを組み立てる感覚は、手先に苦手意識があるお子様にとっても扱いやすく、モノづくりの楽しさを感じる良いきっかけになります。

Q2. 途中で作業をやめてしまった場合、親はどう関わるべきですか?

A2. すべてを一人で完成させることにこだわらず、最初は「ナットを押さえる」「ネジを回す」など、作業の一部分だけを任せてみる方法もあります。

「自分の手で一部分を仕上げた」という感覚を共有することで、次の挑戦へのハードルが下がります。

Q3. ネジ留めで得られる試行錯誤の経験は、他の学習にもつながりますか?

A3. 算数の図形問題や理科の実験、あるいは日常の問題解決において、「原因を観察し、仮説を立てて調整する」という思考プロセスは共通しています。

ネジ留めで「分解して探る」感覚に親しむことは、理系的・工学的なものの見方を育む良いきっかけとなります。

まとめ:分解と調整の体験が、ものづくりの仕組みを理解する第一歩になる

「粘り強さ」や「試行錯誤する力」は、ただ「諦めない」と言われるだけで身につくものではありません。失敗したときに原因を考え、方法を変えてもう一度試す経験を重ねることが、その一つの土台になります。

「組み立てては外し、原因を考えて調整する」というエンジニアリング的な試行錯誤を体験できるネジ留め遊びは、子どもたちに理系の選択肢を与え、ものづくりの仕組みを理解する素晴らしい機会となります。

ぜひご家庭で、試行錯誤を楽しむモノづくりの時間を一緒に味わってみてください。

【参考文献・公的出典】

  • [1] 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編 / 図画工作編」
  • [2] Bandura, A. (1977). Self-efficacy: Toward a unifying theory of behavioral change. Psychological Review, 84(2), 191-215.
  • [3] National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine. (2022). Science and Engineering in Preschool Through Elementary Grades: The Brilliance of Children and the Strengths of Educators. The National Academies Press.
  • [4] Flavell, J. H. (1979). Metacognition and cognitive monitoring: A new area of cognitive-developmental inquiry. American Psychologist, 34(10), 906-911.
  • [5] Mueller, C. M., & Dweck, C. S. (1998). Praise for intelligence can undermine children’s motivation and performance. Journal of Personality and Social Psychology, 75(1), 33–52.

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