子供の思考力を育みたいですよね。親として重要な役割のひとつだと思います。
思考力の中でも”抽象的思考”は全ての思考の基礎となり、学校の勉強はもちろん、問題解決や創造力を発揮するために欠かせない能力です。
抽象的思考力は一朝一夕で身につくものではなく、幼少期からのトレーニングをオススメします。具体的なトレーニングの一つに読書があります。
文字が読めない幼少期にもできるトレーニングとしては、絵本の読み聞かせが効果的な手段として注目されています。
本記事では、抽象的思考とは何か、どのように絵本を通じてその力を育てるかについて詳しく見ていきます。
抽象的思考とは?全ての思考の土台!
抽象的思考力とは、目に見える具体的な情報をもとに、背後にある法則や共通パターンを見つけ出す思考力のことです。
「具体的なもの」とは、目に見える物事や現象を指します。例えば、目の前にある「リンゴ」は具体的なものです。それは赤くて、丸くて、手に持つことができる、という特徴を持っています。
一方で、「抽象」とは、リンゴ以外にみかんやバナナなど複数の具体的なものから、共通の性質を抽出してまとめたもので、この場合は「果物」が抽象です。個々の具体から共通の要素を抜き出して、全体を一つのカテゴリーにまとる、これが「抽象」の第一歩です。
目の前の具体を見て、それが単に「物」ではなく、何らかのカテゴリーに属していることを理解する力。さらにその上で、その物体が他とどのように関連しているのかを考えることが抽象的思考です。
以下記事でも抽象的思考について詳しく解説しています。ぜひ読んでみてください。
子供たちがこの力を身につけると、日常生活の中で自分の見たものや聞いたことから、より深い洞察を得ることができるようになります。学校での学習においても、単なる暗記に終わるのではなく、原理や理由を理解し、応用できる力が身につきます。
では、どのようにしてこの「全ての思考の土台」とも言える抽象的思考を育てていけばよいのでしょうか?
考えるトレーニング!抽象的思考を伸ばすのは具体化と思考化の繰り返し!
抽象的思考を鍛えるためには、具体的な事例や物事を抽象化し、またその逆に抽象的な概念を具体化するというサイクルを繰り返すことが重要です。この繰り返しが、子供たちに考える力を育てるトレーニングになります。
例えば、絵本を読んでいるときに、キャラクターがある行動を取った理由について質問してみてください。「なぜこのキャラクターはこうしたのかな?」という問いかけをすることで、子供は物語の中で具体的に描かれた出来事を抽象的な概念に結びつけようと考え始めます。
答えを導き出すために、物語の中での他の場面や経験を使って説明するというプロセスは、具体化と抽象化の両方を同時に行うことになります。
また、学校の勉強もまさに具体と抽象の繰り返しトレーニングです。目の前の問題や過去問は具体的な1問ですが、そこから解法やパターンを抽出するのはまさに抽象化トレーニングです。
このようなトレーニングは、子供がより深く考える力を養うのに役立ちます。具体的な例をもとに抽象的な理解を促し、また抽象的な概念を理解した後にそれを具体的な事例に結びつけることで、子供の思考は次第に高度になっていきます。
読書は具体化・抽象化のトレーニング!絵本で読書習慣を身につけよう!
でも、文字も読めない幼少期の子どもがトレーニングするにはどうすれば良いでしょうか?
私のオススメは絵本の読み聞かせです。絵本読み聞かせは、抽象的思考を育てる最高のトレーニング方法のひとつです。
視覚的な刺激と物語の流れを通じて、子供たちに具体的なイメージを与え、そこから抽象的な概念を導き出すプロセスを促します。読み聞かせは、親子のコミュニケーションの一環としても優れた方法であり、ただ単に文字を追うのではなく、物語の中で起きていることを一緒に考える機会を与えます。
絵本のキャラクターたちに感情移入することで、彼らが直面する問題や選択肢は、子供たちにとっても深く考えるきっかけになります。
「どうしてこのキャラクターは泣いているの?」「このキャラクターは他のキャラクターにどんな影響を与えたのかな?」といった質問を通じて、具体的な出来事を抽象的に理解する力が養われます。
ここで、抽象的思考のトレーニングに最適な絵本を紹介します。それは、「バトン絵本」です。バトン絵本は現代社会を生き抜くための教訓を含んだ教訓絵本です。「いつも同じような絵本ばかり」「ユニークな絵本で差をつけたい」という方には特にオススメの絵本です。
以下記事でバトン絵本について説明をしています。ぜひ読んで見て下さい。
絵本は、将来子供たちに読書を習慣化するのに役立ちます。読書が習慣化することで、子供たちは自分で文字が読めるようになってからも、様々な物語に触れる機会が増え、異なる視点や考え方に出会うことができます。これにより、彼らの思考はさらに柔軟で多角的なものになり、抽象的思考のトレーニングにも一層役立ちます。
魚を与えるな、釣り方を教えよ!抽象的思考は釣り方を知ること!
古い言葉に「魚を与えるより、釣り方を教えよ」というものがあります。語源は諸説ありますが、有名な言葉なので、聞いたことがある人も多いと思います。
この言葉は、単に一時的な助けを与えるよりも、自己解決能力や持続的な技術を教える方が本質的な助けになる、という意味です。
抽象的思考も同様で、目の前の具体的な問題に対してただ答え(魚)を教えるのではなく、どう考えればその答えにたどり着けるのかという思考(釣り方)を教えることが重要です。
具体的な事例を与えるだけでは、子供はそれをその場で理解することができても、その後、異なる場面で応用する力が不足することがあります。しかし、抽象的な法則や概念を理解し、それを応用する方法を教えれば、子供たちは新たな問題にも柔軟に対応できるようになります。これこそが、釣り方を教えるということです。
読み聞かせの場面でも、この考え方を取り入れましょう。物語の展開だけに焦点を当てるのではなく、キャラクターの行動の裏にある考え方や選択肢について子供に考えさせるような問いかけをしてみてください。それにより、子供は次第に「自分で考える」力を養い、抽象的思考が自然と身についていきます。
まとめ!絵本で抽象的トレーニングを始めよう!
幼少期から抽象的思考を育てることは、子供たちの重要な思考の基盤を築くことになります。そのためには、具体的な出来事を抽象的に考えさせ、また抽象的な概念を具体化するトレーニングを日常的に行うことが大切です。この記事では、具体的なトレーニング方法として、絵本の読み聞かせをオススメしました。
絵本の読み聞かせは、具体・抽象の繰り返しをする素晴らしい手段であり、子供と一緒に物語を楽しみながら考える力を伸ばしていくことができます。
子供たちには「魚を与える」だけでなく、「釣り方を教える」ことを忘れずに、日々の育児において抽象的思考を意識した対話や活動を取り入れていきましょう。それが、未来の豊かな思考力を持つ子供たちを育てる一歩です。
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