子どもが将来社会で活躍して欲しい。幸せな人生を送って欲しい。親として、そのための色々な能力を子どもの頃から育ててあげたいと思いますよね。
その中でも近年、注目されている能力が「抽象的思考」です。抽象的思考力は、問題解決や新しいアイデアを生み出すための土台となり、特にAI時代を迎える現代では一層重要視されています。
しかし、抽象的思考とは一体何なのでしょうか?具体的にどうやって子どもに教え、伸ばしていけば良いのでしょうか?本記事では、抽象的思考の基礎から、その育て方について解説していきます。
具体と抽象って何?抽象とは見えない特徴を抽出したもの!
「抽象的思考」を理解するためには、まず「具体」と「抽象」の違いを知ることが重要です。「具体的なもの」とは、目に見える物事や現象を指します。たとえば、目の前にある「リンゴ」は具体的なものです。それは赤くて、丸くて、手に持つことができる、という特徴を持っています。
一方で、「抽象」とは、リンゴ以外にみかんやバナナなど複数の具体的なものから、共通の性質を抽出してまとめたもので、この場合は「果物」が抽象です。個々の具体から共通の要素を抜き出して、全体を一つのカテゴリーにまとる、これが「抽象」の第一歩です。
抽象的思考とは、この「具体的な事物」から「共通する本質」や「特徴」を引き出し、それを応用したり、別の文脈で利用したりする力を指します。これにより、単なる暗記や知識だけでなく、得た知識を応用し、さらに新しい視点から物事を考えることができるようになります。
書籍「13歳から鍛える具体と抽象」でも、詳しく抽象的思考について解説されています。私もこの書籍を参考にさせて頂いております。
言葉や数がこの具体と抽象から成り立っているという関係なので、「生きていくための基本中の基本」のさらに基礎をなしていると言ってもいいでしょう。
細谷功 著 ”13歳から鍛える具体と抽象”
抽象的思考の役割は?すべての思考の土台!
先ほど説明したように、抽象的思考は「目に見えない複雑で難しいことを考える力」というわけではありません。むしろシンプルで、日常生活において非常に重要な役割を果たしています。
例えば、ある出来事に対して「原因と結果」を考えるとき、私たちは具体的な出来事を抽象化し、一般的な法則やパターンを見つけ出します。これが、問題解決や意思決定の際に役立つのです。
さらに、抽象的思考は創造力とも深く結びついています。創造的なアイデアは、既存の知識や経験を組み合わせ、新しいパターンや視点を生み出すことから生まれます。これも抽象的思考のプロセスの一部です。
子どもにとっても、この力を発揮することで、自分の周りにある情報をただ受け入れるだけでなく、自分なりの視点で分析し、課題に対応する力を養うことができます。学校の勉強だけでなく、人生のあらゆる場面で活躍するスキルとなるのです。
大人になってからこの言葉(具体と抽象)を理解した多くの人たちが、「もっと早く知っておけばよかった」「小さいうちに学校で教えるべき」という感想をいっていることからも分かってもらえるでしょう。
細谷功 著 ”13歳から鍛える具体と抽象”
抽象的思考はこれからのAI時代に特に求められるスキル!
現代はAI(人工知能)やテクノロジーの進化が急速に進む時代です。多くの単純作業や定型的な仕事は、AIに取って代わられていくことは間違いないでしょう。これからの時代に人間に求められるスキルは、AIでは簡単に代替できないもの、すなわち基礎的読解力や創造的な問題解決や、複雑な状況下での判断力です。
以下記事で、AI時代を生きる子どもたちに求められる力についての解説記事を書いています。ぜひ読んでみて下さい。
抽象的思考は読解力と並んで、まさにAI時代に必要とされる力です。AIがデータを基にして具体的なタスクをこなす一方で、人間はそのデータをどう解釈し、どのように応用するかを考える必要があります。そのためには、抽象的な概念を理解し、他の状況や新しい課題に適応させる力が不可欠です。
AIが生成する情報をただ受け取るだけではなく、その情報を分析し、未来を見据えた行動を取るためには、人間の抽象的な思考力がますます重要になるでしょう。
抽象的思考の伸ばし方!絵本で抽象化トレーニング!
では、実際に子どもの抽象的思考をどうやって育てれば良いのでしょうか?抽象的な概念を理解するための具体的な方法として、私は絵本を活用することをオススメしています。
絵本は、シンプルな物語やキャラクターを通じて、深いメッセージや複雑な感情を表現しています。
まさに、そのストーリーそのものは「具体」であり、そこから考えられる教訓やメッセージは「抽象」となっているのです。
おすすめは対話をしながらの絵本の読み聞かせです。絵本の中で描かれる「なぜ?」や「どうして?」という質問を一緒に考えることで、具体的な出来事から抽象的なテーマを引き出す力が養われます。単にストーリーを追うのではなく、子どもに「このお話は何を教えてくれるのかな?」と問いかけることで、抽象的思考を促すことができます。
こうした対話を通じて、子どもは具体的な出来事から普遍的なテーマや法則を見つけ出し、自分なりの考えを形成する力を育んでいくのです。
私たちバトン開発はそういった抽象的な教訓を含ませたオリジナルストーリーの絵本「バトン絵本」を作成しています。ぜひ以下記事も読んで頂き、バトン絵本を手に取っていただけると幸いです。
まとめ!絵本で抽象的思考トレーニングをしよう!
抽象的思考は、ただの学問的なスキルではなく、日常生活や将来の仕事においても非常に重要な力です。特に、AI時代を迎える中で、このスキルはますます価値を持つものとなります。具体的な物事を抽象化し、それを他の状況に応用する力を育てることで、子どもたちは柔軟で創造的な思考を身につけることができるでしょう。
絵本を活用したり、日常生活の中で「なぜ?」と問いかける習慣を持つことで、子どもの抽象的思考を自然に伸ばしていくことができます。親としても、子どもの思考力を引き出すサポートをしながら、子どもたちが未来に向かって自信を持って歩んでいけるような力を一緒に育てていきましょう。
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