近年、幼児教育の質がその後の育ち/学びへ影響することが、海外の研究において示されています。絵本の読み聞かせはその代表で、日本でも絵本を含む児童書の売り上げは拡大しており、改めて絵本教育が注目されています。
特に父親による絵本読み聞かせについて研究がされており、父親の読み聞かせが子どもに与えるメリットも明らかにされています。
本記事では、父親にフォーカスをし、父親による育児参加の実態と絵本読み聞かせのメリット、課題について解説します。「旦那にも絵本の読み聞かせをして欲しい」「絵本の読み聞かせが良いというけど、どんな効果があるのだろう?」という方にぜひ最後まで読んで頂きたいです。
父親と子の遊びは27分。父親の絵本読み聞かせは少数派?
総務省が行った「令和3年社会生活基本調査」によると、6歳未満の子どもを持つ父親の1日平均の育児関連時間は1時間05分。一方、母親は3時間54分と報告されています。
近年、父親の育児参加が加速してはいますが、まだまだ母親が家事・育児の多くを担っていることが読み取れます。
また、育児関連時間には身体の世話や監督時間/送迎なども含まれているため、これらを除いた父親と子どもの「遊び」時間は1日平均27分です。
家庭事情はそれぞれですし、そもそも育児参画時間はそれぞれの家庭の価値観も関係してきます。なので、この数字だけを見て多い少ないの議論はできません。
ただ、遊び時間にもいろいろありますから、この調査結果の数字から父親が絵本の読み聞かせをしている家庭はまだ少数派だということは推測できます。
海外では父親の読み聞かせは日常!ハーバード大学の研究でも効果あり!
一方、海外では日本より父親が家事・育児に費やす時間も多く、自然と参加している国も多いようです。書籍「ハーバードで学んだ最高の読み聞かせ」の中でも、著者がアメリカ留学時に父親がよく家事・育児を担当していたと述べています。
ハーバード大学で学んでいたときも、父親や男性も子どもに絵本を読むことが奨励されていました。
理由は、もともと、保育園や幼稚園では女性の先生の比率が高いため、家庭で母親だけが読み聞かせをすると、「本を読むのは女性の役割」という固定観念を子どもに与えかねないからです。加藤 映子 著 「ハーバードで学んだ最高の読み聞かせ」
また、ハーバード大学の研究では、父親が読み聞かせをすることで、こどもは想像力をさらに働かせるようなると報告しています。父親と母親では読み方にそれぞれ傾向があり、父親の投げかける対話は「想像力豊かな議論」となって子どもの言語発達をはじめ、より多くのメリットがあると示しています。
父親による絵本の読み聞かせは世界で研究の対象となっており、その良い影響・効果について明らかにされてきています。次章では、父親の絵本読み聞かせのメリットについて説明します。
父親の絵本読み聞かせのメリット
父親による絵本読み聞かせの主なメリットを3点説明します。
① 言語発達、想像力の更なる向上
父親は母親と絵本の読み聞かせ方が違うという研究結果があります。「決まった答えのないやりとり」「子どもの生活と関連した質問」なども織り交ぜて想像力豊かな議論を膨らませるようです。母親と違う着眼点での読み聞かせは子どもにとって刺激となります。
② 特別感を感じ、集中力が増す
まだまだ母親の家事育児が多いのが実情です。だからこそ、父親による絵本の読み聞かせは子どもにとって特別な時間になります。お父さんが呼んでくれる特別感、ワクワクを感じることで集中力を発揮し、絵本の効果をより高めます。
③ 親子の絆
絵本の読み聞かせという行為は、親子の触れ合いの場となります。特に父親と普段過ごす時間が少ない家庭にとっては貴重な親子の時間となります。
・そもそも、子どもは大人が自分に注意を向けてくれることを喜びます。
・親が自分のために一定の時間を割いてくれていることは子どもに伝わりますし、親子にとっても大切な時間になるはずです。加藤 映子 著 「ハーバードで学んだ最高の読み聞かせ」
父親の絵本読み聞かせの課題
父親の読み聞かせが大切だと理解できても、問題は継続できるかどうかです。忙しい父親が毎日読み聞かせをするのは簡単なことではないです。
継続できないパターンでよくあるのが、絵本の読み聞かせという「何か特別なことをする」感覚をもってしまい、負担に感じるパターンです。だんだんと忙しいなどの理由で読み聞かせが継続できなくなります。
何も特別なことではなく、ただの日常会話だと思って、肩の力を抜いて取り組むのがポイントです。抑揚をつけて、感情移入して読み聞かせをする必要はありません。
以下の記事で父親の読み聞かせの課題と解決策について説明しています。
まとめ!
父親による育児の実態と絵本読み聞かせのメリット、課題について解説しました。
幼児教育の効果は世界的に研究対象となっており、子どものその後の育ち/学びへ影響することが示されています。何も特別なことや難しいことをする必要はありません。ただ絵本を一緒に読んで、子どもと対話をする。それだけでいいのです。
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